2024/07/18

「アストリッドとラファエル」主演キャストが出演の最新作レビュー!フランスドラマ上映会に行ってきました!

7 月 14 日はフランス革命記念日。一連の革命のきっかけとなったバスティーユ監獄襲撃の日であり、この日にはフランスの各地はもちろん、フランスにゆかりのある世界のさまざまな場所でお祝いが行われています。今回は、東京日仏学院で開催されたパリ祭にて上映された、『アストリッドとラファエル 文書係の事件録』主演キャストが出演のフランスドラマ『マドモアゼル・ホームズの捜査日記』と『デビルズ・リープ~娘を守れ!最強の親父』のレビューをお届けします!

パリ祭とは?

1789 年 7 月 14 日、フランスの民衆によってバスティーユ監獄が奪取されました。フランス革命の大きな契機となったこの出来事を記念して、フランス国内では各地で盛大なパレードや催しが開かれるそうです。日本では「パリ祭」として、フランスにゆかりのある町や施設を中心に、フランスの伝統と今を知ることができる大切な行事として親しまれています。

今回うりまるは、飯田橋にある東京日仏学院さんにお邪魔したのですが、緑豊かな中庭をぐるりと囲むように美しい白い壁の建物が建つ敷地では、併設されたレストラン「ロワゾー・ドゥ・フランス」さん提供の出店の料理を楽しむ人々の姿が。空はあいにくの雨模様でしたが、むしろ連日の酷暑からは少しだけ解放され、外の清々しい空気を楽しながら談笑する方も多い印象でした。フランスと日本の交流の深さに思いを馳せることのできるイベントとなりました。

ラファエル役ローラ・ドヴェール主演『マドモアゼル・ホームズの捜査日記』第 1 話レビュー

2024 年 4 月にフランスの TV 局 TF1 で放送されたばかりの新作ドラマで、すでにシーズン 2 の制作も決定している話題作『マドモアゼル・ホームズの捜査日記』。日本でも人気を高める『アストリッドとラファエル文書係の事件録』では破天荒でありながら心優しいラファエル・コスト警視を演じるローラ・ドヴェールが、今度は名探偵シャーロック・ホームズのひ孫(!)のシャルリー・ホームズを演じます。


© HookedCreative

ところで、名探偵シャーロック・ホームズといえば、皆さんはどんな人物を想像するでしょうか?

一目見ただけでその人物の職業から、朝食に何を食べたのかまで当ててしまう鋭い観察眼。わずかな手がかりから答えを導き出す推理力。そして他の追随を許さないほど回転の速い頭脳。これまで数多くの作品でシャーロック・ホームズという人物は、時代も国も時には性別も超えた姿で描かれてきました。そんなシャーロック・ホームズにはひ孫がいたのだ!という驚きとともに始まる本作ですが、主人公シャルリーはこれまでのどのホームズ像とも少し雰囲気が異なります。警察の苦情対応係として働く彼女は、人の役に立ちたいという優しさを持ちながらも内気な性格で、町を揺るがすような大事件とは無関係の静かな生活を送っています。


© Marysol – Capa Drama – TF1 / MMXXIII

そんな彼女の相棒として登場するのは、病理医の研修生サミー。根っからのホームズファンだと熱く語る彼は、紹介されたシャルリーが敬愛する名探偵の子孫だと知って大興奮。しかしシャルリーにとっては、シャーロック・ホームズの子孫だというのはただの自己紹介以上の意味はなかったのでした。ところが、そんな彼女に転機が訪れます。幼少期のトラウマが原因で精神安定薬を服用していた彼女は、交通事故によって入院したことをきっかけに、こっそり服用をやめてしまいます。彼女の身を案じる祖父の言葉に背く行為でしたが、感覚が研ぎ澄まされた彼女はこれまでにない観察力と推理力に目覚め、次々と難事件を解決に導いていくことに。

「紛れもない天才だが、人の情緒には疎い」というのがシャーロック・ホームズに対するおおよそのイメージかと思いますが、今作のシャルリーはむしろ人の情緒にかなり寄り添う探偵です。子を案じる母親の姿に涙を流し、復讐に駆られた犯罪者の心に理解を示すホームズ、というのは個人的にはかなり新鮮な解釈でした。ドラマ冒頭の「のんびりしすぎていて人によく𠮟られてしまう人」というシャルリーが次第に、鋭すぎる感覚で事件の手がかりをつかみ、大胆な行動力で真実に迫っていきながら、犯罪の渦中にある人々の心にまで寄り添う名探偵へと変貌していく姿はかなり見どころです。

『アストリッドとラファエル 文書係の事件録』でのローラ・ドヴェールの活躍を知っている人であればそのギャップに驚くこと間違いなしですし、シャーロック・ホームズと名の付く作品ならピンとアンテナに引っかかる生粋のミステリーファンもつい引き込まれてしまう新しいホームズ像を生み出した作品です。


© Marysol – Capa Drama – TF1 / MMXXIII

アストリッド役サラ・モーテンセン出演『デビルズ・リープ~娘を守れ!最強の親父』第 2 話レビュー

続いてご紹介するのは、アクションチャンネルで放送中の『デビルズ・リープ~娘を守れ!最強の親父』より、『アストリッドとラファエル 文書係の事件録』でアストリッド役を演じるサラ・モーテンセンがゲスト出演した第2 話です。本作はその邦題の通り、元フランス軍特殊部隊員の屈強な中年男性ポールが、反抗期真っ盛りの娘と対峙する父親として奮闘する姿を描いています。…この説明だとホームコメディかな?と思われるかもしれませんが、そんなほのぼのとした空気は一切ありません。

普段はキャンピングカーで寝泊まりしつつ、雄大な自然の中で穏やかな引退生活を送るポール。しかし、なぜか娘と親子水入らずで過ごそうとする度に邪魔が入ります。しかもその邪魔というのがあまりにも規模が大きく、いつも気が付けば、国家や軍を揺るがす大事件に発展しかねない事態に。おまけに大抵の場合、「娘の命が惜しければ」が枕詞についています。そう、『娘を守れ!最強の親父』というタイトルは伊達じゃないのです。個人的にはもう娘を最強に鍛え上げた方が早いんじゃないか、と思いながら視聴してしまいます。


© Julien Cauvin / TF1, CPB Films, Yellow Butterfly

第 2 話では、フランス軍による青少年向けの野外オリエンテーションの教官を頼まれたポール。自分の娘を含めた子供たちと共に山でキャンプを楽しんでいた彼を、正体不明の民兵部隊が襲撃!若者たちを人質にとった民兵部隊の要求とは…?

ドラマの随所でフランスの美しくも厳しい自然が舞台として登場するのですが、満身創痍のポールが険しい獣道をものともせずに単騎でかけていく姿は圧巻の一言です。サラ・モーテンセンは、国外で強奪された美術品や文化財の返還を担当するフランス軍の技術顧問ガブリエルとして登場します。ポールとはかつて戦地でともに戦った戦友であり、何やらお互いに特別な感情があったことを匂わせる意味深なセリフもあり、なんとも印象的なキャラクターです。迷彩服に身を包み、鋭い声で部下に指示を飛ばす凛々しい姿は、繊細で物静かなアストリッド役とは大きく異なるイメージですので、ぜひ新たなサラ・モーテンセンの魅力を知っていただければと思います。


© Julien Cauvin / TF1, CPB Films, Yellow Butterfly

最後に

フランスの人々にとって非常に大きな意味を持つフランス革命記念日が、日本では「パリ祭」として親しまれていることを知ると、フランスと日本の間で行われてきた交流の深さを感じますね。今回は、フランス産ドラマに大きな注目が集まるきっかけとなったドラマ『アストリッドとラファエル 文書係の事件録』で大活躍中の、ローラ・ドヴェールとサラ・モーテンセンが出演する 2 作品もご紹介しました。いま世界的スポーツイベントで熱い視線が注がれるフランスが生み出す、華やかで情緒に溢れるドラマには、ほかのどの国とも異なる魅力があると思います。今回ご紹介した 2 作品も見どころたっぷりですので、気になった方はぜひチェックしてみてください!

(文:うりまる)

ミステリーチャンネルで放送!
●マドモアゼル・ホームズの捜査日記(全6話)
字幕版:9/28(土)夕方4:00 一挙放送
番組公式サイトはこちら

アクションチャンネルで放送!
●デビルズ・リープ~娘を守れ!最強の親父(全2話)
字幕版:7/21(日)夕方6:00から全2話一挙放送
番組公式サイトはこちら

ミステリーチャンネルとアクションチャンネルでは、現在、「特集 ドラマで楽しむフランス」と題して、フランス全土をまるごと楽しめる特集をお届け中!
ミステリーチャンネルでは7~9月の3カ月にわたって、3つのテーマで放送します!7月のテーマは、“花の都パリ”、8月は“パリだけじゃないフランス”、9月は”NEWバディー”とテーマごとにお届けします!ぜひお楽しみください。

うりまる
2017年ごろから海外ドラマ・映画について執筆中。ミステリー作品ならなんでも好きですが、特にまったりとした(COZYな)ミステリーが好きです。