今回は、ドイツ発のドラマからおすすめの作品を8つご紹介！捜査官たちの地道な捜査と社会情勢も織り交ぜた重厚なストーリーが魅力のミステリードラマ、そして圧巻のアクションシーンとテンポの早いストーリーが爽快なアクションドラマをご用意しました。実はクライムドラマが豊作な国・ドイツの、硬派な作品ばかりですので、ぜひ気になる作品をチェックしてみてください！

【ドイツのおすすめミステリードラマ】

ミステリーチャンネルで放送のドラマ3作品をご紹介！

獣医ヤコブスの事件簿

© NDR / Aspekt Telefilm

海沿いの閑静な町シュヴァニッツに移住してきた、人間嫌いの元警察官ハウケ・ヤコブス。古い漁船を買い取って悠々自適の暮らしを手に入れた彼は、町に一つしかない動物病院の獣医として第二の人生を送ることに。ところが、到着して早々に遺体を発見してしまったヤコブスは、地元の警察官ローナの捜査に協力したり、たまたま巻き込まれただけだったりを繰り返しながら、表向きには平和に見えるこの町に潜む犯罪に立ち向かっていく…。

動物の可愛さにほっこりするやわらかドラマかと思いきや、質実剛健なドイツのクライムドラマらしく、移民や社会問題にも切り込む重めなストーリーが展開していきます。2014年の放送開始以来、本国ドイツで10年以上愛され続ける人気シリーズです。

本作は登場人物の数こそ多くはないものの、元警察官の獣医という異例の経歴を持つ主人公ヤコブスをはじめとした個性の強いキャラクターの活躍が見どころです。小さい町の警察あるあるの「現場に出るおまわりさん少なすぎ問題」は今作でも健在で、シュヴァニッツの治安を守る警察官ローナは、罰金の徴収から重罪犯の逮捕までほとんどすべての業務に駆り出されるタフな女性。そんなローナの友人であり動物病院の獣医助手を務めるユーレは、患畜の様子をいつでも診ることができるようにと病院のすぐ隣に部屋を借りるほど仕事熱心な性格で、動物病院の主が変わってもその献身は変わりません。おしゃべりで陽気な性格のユーレと、人間相手だと驚くほど口数が少なくなるヤコブスとの凸凹コンビぶりも本作の魅力です。

「獣医ヤコブスの事件簿」番組公式サイト

ティールとベルネ ミュンスターの事件現場

© Westdeutscher Rundfunk 2004

ドイツで1970年の放送開始以来、50年以上にわたって愛され続ける人気クライムドラマ「Tatort」シリーズの中から、最も人気の高いミュンスター編が『ティールとベルネ ミュンスターの事件現場』として登場！寡黙で静かな生活を好む刑事ティールと、雄弁で豪華な暮らしぶりの法医学者ベルネ。なにもかも正反対に見える二人が意外なコンビネーションを発揮して、ドイツ第3の都市ミュンスターで巻き起こる事件解決に奔走していきます。

陰惨な事件や重めの社会問題にも触れる真面目なドラマですが、ティールが一言発する間にベルネがその5倍はしゃべるという感じで個性豊かなキャラクター同士の掛け合いが多いので、気軽に楽しめる作品だと思います。しかも、ベルネはティールが暮らすアパートの大家さんでもあり、仕事が終わっても帰る場所が同じおじさん二人の織りなす、派手さはないけどクスッと笑えるシーンも多いので、「ドイツドラマは格式が高そう…」と感じる方の入り口としてかなりオススメです。

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ウーゼドム・ミステリー　罪深き母の捜査ファイル

© A production by Polyphon Film- und Fernsehgesellschaft & Razor Film Produktion for ARD/Degeto

バルト海に浮かぶ美しいリゾート地ウーゼドム島を舞台に、元検事カーリンと刑事ユリアの母娘が、親子の確執に悩みながらも難事件解決に挑む人気ミステリーです。2014年にドイツ公共放送局ARDでの放送開始以来、アメリカ、カナダ、英国、スペインをはじめとする世界95か国で放送されています。

夫殺しの罪で服役していたカーリンの出所から幕を開けるシーズン1では、父親の死をいまだ受け入れることができずにいる娘ユリアとの間にできてしまった心の距離に悩みながらも、カーリンは島で起きる陰惨な事件に立ち向かう娘をそれとなく後方支援していきます。そんなユリアもまた、環境保護活動に熱心で反抗期真っ盛りの娘ゾフィーに手を焼いている母親でもあり、親子三代にわたる複雑で悩み多き愛の形を丁寧に描いています。ドイツとポーランドの国境に接しているこの島ならではの事情を背景に、社会問題を織り込んだ重厚なストーリーも見どころです。

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【ドイツのおすすめアクションドラマ】

アクションチャンネルで放送のドラマ5作品をご紹介！

アラーム・フォー・コブラ11～ゼミル＆ベン

© action concept Film- und Stuntproduktion GmbH

ドイツの高速道路内にある制限速度無制限区画「アウトバーン」を舞台にした『アラーム・フォー・コブラ』。1996年の放送開始以来今もなお続く大ヒットシリーズの、2009年から放送がスタートした「ゼミル＆ベン編」！2007年にはスタント界のアカデミー賞^🄬とも称されるトーラス・ワールド・スタント・アワードの外国語作品部門で最優秀アクション賞を受賞！その後も同賞を3度受賞（2009年、2012年、2017年）するという快挙を成し遂げました。

そんな世界でも高く評価されたカーアクションですが、BMWやメルセデス・ベンツなど、名だたる名車であっても高速道路の儚い星と消えてゆく潔さに、毎回度肝を抜かれてしまいます。エピソードごとになかなかな規模の事故が起きているわけですが、ルール無用とばかりに無茶を繰り返す主人公たちが、次のエピソードでちゃんとその責任を取らされることも…。ド派手なアクションに現実的なストーリーという温度差がなかなか癖になる作品です。

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ラストコップ～刑事ミック　失われた20年

© Granada Produktion für Film und Fernsehen Gm

20年ぶりに目を覚ました刑事が若い相棒とともに難事件に立ち向かっていくクライム・アクションの元祖ドイツ版が登場！頭に銃弾を受けて昏睡状態に陥っていた刑事ミックが20年ぶりに覚醒。しかし、目を覚ましてみれば、愛する妻は別の男と暮らし、赤ん坊だった娘は大人になり、新たな相棒となるのは自分の半分しか生きていない若者だった…というまさに浦島太郎状態。しかし、禁煙が当たり前の世の中となっても、敬愛するフレディ・マーキュリーがこの世を去っていても、コーヒーマシンのどのボタンを押せばいいのか分からなくとも、自分自身を見失うことなく人生を取り戻そうと前向きに足掻いていくミックの姿を描いています。

フランスのリメイク版『刑事ファルコ 失われた22年』が印象に残っている方も多いのではないでしょうか？悲痛な表情で現実と向き合う哀愁漂うファルコが主人公だったフランス版とは異なり、ドイツ版の方がより明るくポップな印象です。シートベルトをせずに、「どうして知らん女の指示に従うんだ？」とカーナビを無視するミックですが、頭を抱える相棒をよそになんとなく楽しそうな主人公にちょっと元気をもらえるハズです。

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アインシュタイン ～天才科学者の殺人捜査～

© 2016 SAT.1

2017年の放送開始以来、世界100以上の国と地域で放送された人気シリーズ！アインシュタインの玄孫（やしゃご）にして天才物理学者のフェリックスが、警察の捜査アドバイザーとして捜査に協力しながら、難解な事件に科学的視点で切り込んでいきます。

ご先祖様譲りの天才的な頭脳でもって若くして教授の職に就いているフェリックスですが、その素行はお世辞にもいいとは言えません。不品行（教え子と関係を
持つ）、法律違反（麻薬の売人と気軽に取引をする）、不服従（上司である学長にも全く従わない）という余罪のオンパレードな主人公ですが、警察が一年以上抱え続けた未解決事件を5分で解決してしまうその頭脳でもって、周囲からの信頼を勝ち取っていきます。シーズンを重ねるごとに、登場人物たちの抱えるストーリーが深く掘り下げられており、フェリックスと相棒のエレナとの関係性の変化もますます気になるばかりです。

シーズン3ではフェリックスがかつて想いを寄せた幼馴染や、エレナの息子レオンの父親をはじめ、重要な新キャラクターも増えていきます。個人的には、唯我独尊を貫いていたフェリックスが、エレナの息子レオンには何かと心を砕いているシーンがとても好きなので、ファイナルシーズンでも彼らの関係を観ることができるといいな、と思っています。フェリックス役を務めるのは、先にご紹介した『アラーム・フォー・コブラ11～ゼミル＆ベン』でベンを演じたトム・ベックです。ぜひ彼の活躍を合わせてチェックしてみてください。

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BLACKOUT―ヨーロッパ大停電―

© 2021 W&B Television GmbH/Joyn GmbH/Seven.One Entertainment Group GmbH

未曽有の大停電が発生したヨーロッパを舞台に、パニックに見舞われながらも日常を取り戻すべく戦う官僚と、真実を明らかにすべく立ち上がった一人の元ハッカーに焦点を当てたパニック・アクション。原作は、日本を含めて世界15か国以上で翻訳＆出版されているドイツの作家マルク・エルスベルグによるベストセラー小説『ブラックアウト』です。

ある寒い日の夜、電気供給システムに原因不明のエラーが発生し、欧州全体を大停電が襲う緊急事態に。ドイツ内務省で働くフラウケは危機対策本部の責任者に任ぜられ、国民の生活のためにエラーの原因究明とインフラの確保に奔走することに。一方、イタリア北部では元ハッカーのマンツァーノが自宅のスマートメーターを調べ、表示されたコード名から驚くべき事実に気が付く。急ぎ電力会社に知らせようと車を走らせたマンツァーノだったが、その豊富な知識と内部事情に詳しいことから欧州刑事警察機構に連行されてしまい…。

電気が人々にとって当たり前となったのは、人類の歴史の中でもほんの100年程度のはずですが、瞬く間になくてはならない存在となりました。ドラマの中では、ヨーロッパの洒落にならない寒さも相まって、パニックは炎のように広がっていきます。人々の当たり前の日常を取り戻すべく奮闘するドイツの官僚フラウケと、この前代未聞の大事件の真実を追い求めるイタリアの元ハッカー、マンツァーノの視点でそれぞれ進んでいくのですが、この視点の切り替え方も見事で緻密に構成された脚本に引き込まれること間違いなしです。ドラマ冒頭、当たり前の日常を過ごす普通の人々を映すシーンも、その後の展開を考えるとどこか不穏なものに見えてきます。

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刑事サニー　サイコキラーを追う女

© Stephan Rabold Rowboat MDR Degeto

トラウマを抱えた敏腕刑事サニーが、脱走した連続殺人犯を追うクライム・アクション『刑事サニー サイコキラーを追う女』。映画『ハンナ・アーレント』(2012)や、『顔のないヒトラーたち』(2014)に出演したフリーデリーケ・ベヒトが主人公サニーを演じ、ドイツのテレビ賞「German Television Awards」主演女優賞を受賞したことで、ヨーロッパで話題を呼びました。

女性ばかりを狙った連続殺人犯ハフナーが医療刑務所を脱走。療養休暇を経て州刑事局に復職したばかりの刑事サニーも捜査チームに加わることに。捜査能力も高く、行動力もあるサニーでしたが、パートナーからは復職に強く反対されてしまい、意見の衝突が絶えない日々。サニーの休職の理由は次第に物語の中で明らかになっていくのですが、傷を抱えたまま無理に前に進もうとするサニーと、それでもなんとか助けようとする周囲のサポートが丁寧に描かれています。高評価もうなずけるクオリティの作品ですが、人によってはショッキングなシーンもありますので、苦手な方は少し注意が必要かもしれません。

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最後に

今回は、ドイツのおすすめドラマを8作品ご紹介しました。華やかさこそ控え目ですが、地道な捜査や丁寧な描写によって真相に近づいていく硬派な作品が多いところが、ドイツドラマの魅力かなと思います。ヨーロッパの様々な作品がどんどん日本に上陸してくる中、国ごとの特徴がよくわかる作品ばかりですので、気になる作品があった方はぜひチェックしてみてください！

（文：うりまる）

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