アガサ・クリスティーが手掛けた長編小説全66作品の中から選りすぐりのおすすめ小説ランキングをまとめました!あなたがおすすめしたい作品は何位にランクインしているでしょうか?また、アガサ・クリスティー作品に興味はあるけど、何から読もうか迷っているという方の参考にしていただけると嬉しいです。
ミステリーの女王として数多くの推理小説を世に送り出してきたアガサ・クリスティー。深い洞察力と想像力、そして卓越した薬学への知識に裏打ちされた緻密なプロットは読者を常に魅了してきました。ポワロ、ミス・マープル、トミーとタペンスなど魅力的な探偵たちを主人公にした長編作品は今もなお世界中で愛されています。世界でおよそ20億冊が出版された“史上最高のベストセラー作家”としてギネスブックにも認定されました。
2023/11/1~11/12までの期間にミステリーチャンネルメルマガ会員様向けに実施されたアンケート結果からランキングを決定!本記事では、原作小説とドラマ版との違いも解説しています。それぞれ見比べてみるのも一興ですよ!
※小説に関する説明では「ポアロ」の表記とし、ドラマ版については「ポワロ」と表記しています。
※アンケートのコメントではドラマ版の感想もご紹介しています。
(早川書房/著:アガサ・クリスティー/訳:山本 やよい)
パレスチナでの事件を解決し、イスタンブールからオリエント急行に乗り込んだポアロ。国籍も階級もさまざまな乗客が乗り合わせた列車の中で、ポアロはアメリカの大富豪ラチェットから「命を狙われているから警護してほしい」と依頼されるが拒否した。しかしその翌朝、ラチェットが惨殺されているのが見つかり、さらには豪雪によってオリエント急行は立ち往生を余儀なくされる。雪に閉ざされた豪華列車の中で、ポアロは殺人犯を探すことに……。
堂々の第一位なのも納得の名作ですね。映像化された回数も非常に多く、デヴィッド・スーシェ版はもちろん、2017年公開のケネス・ブラナー主演の映画も話題になりました。1974年製作のアルバート・フィニー版も非常に評価の高い映画です。今回実施されたアンケートにおいて、回答者の二人に一人が本作の名前を挙げていました。ミステリー作品の中でも特に意外性のある展開と、悲痛に満ちたバックストーリーが非常に印象的です。ポアロの最後の決断も相まって忘れることのできない物語ですので、ミステリーの世界に足を踏み入れる時の最初の一冊におすすめしたい作品ですね。
<アンケートのコメント>
―密室の列車の中で起きる事件というのに加えて謎とあのラスト! 映像で見ても小説で読んでも魅力にみちあふれた1冊だと思います。(女性・50代)
―最後にポアロが犯人をどうするのかで緊張した(男性・70代)
(早川書房/著:アガサ・クリスティー/訳:青木 久惠)
絶海の孤島に招待された8人の男女。晩餐の席で一人が毒を飲んで死亡したことをきっかけに、童話「十人のちいさな兵隊さん」の詩になぞらえて一人ずつ殺されていく。疑心暗鬼に駆られ、罪悪感に苛まれる中、最後の一人がこの世を去り、そして誰もいなくなった。
アガサ・クリスティーと言えば必ず名前が挙がる名作であり、その残酷さはほかに類を見ない作品と言えるでしょう。通常のミステリー作品は、それでも事件の真相を突き止めるために、そしてさらなる被害を食い止めるために誰かが立ち上がるのが常ですが、この孤島に探偵が訪れることはありません。「そして誰もいなくなった」のなら、誰がその話を知っているのだろうか?まごうことなき名作ですが、この物語に触れるといつも背筋が寒くなります。
<アンケートのコメント>
―ストーリー設定が素晴らしすぎる。登場人物が追い詰められていく様、心理描写がおもしろい。(女性・40代)
―童謡にそって一人ずつ減っていく怖さ。タイトルがネタバレなのに、犯人が矛盾なく説明されているところ。何度も映像化され、結末も微妙に変更されるのに、原作を超えるものがないところ。(女性・60代)
―とても良くできたミステリーだと思いました。一人ずつマザーグースにあわせて殺害されていなくなっていくストーリーは恐怖でハラハラドキドキさせられました。登場人物が疑心暗鬼になっていく様子も自分事のようにリアルに感じられました。そして最後、まんまと騙されていました。そうだったのか!という衝撃は今でも忘れられません。(女性・40代)
(早川書房/著:アガサ・クリスティー/訳:堀内 静子)
ポアロのもとに”ABC”と名乗る人物から不審な手紙が届く。アルファベットと、その頭文字から始まる駅名だけが記されたその手紙は、その手紙に書かれた地名で、そのアルファベットで始まる名前の人物が殺害されるという犯行を予告したものだった。いったいこの連続殺人の真相とは……?
2018年に製作されたジョン・マルコヴィッチ主演のドラマも記憶に新しい、クリスティー作品の中でも屈指の人気を誇る作品ですね。ミステリー作品を鑑賞している時には、犯人の目星をつけることと、犯行の動機を探ることはほぼ同時に進行していくものだと思いますが、これは動機の部分がかなり難しい部類の作品だと思います。この作品を初めて読んだときには、子供ながらにゾッとしたことを覚えています。
<アンケートのコメント>
―登場人物たちのキャラクター描写の細かさやトリックどれをとっても凄い。(女性・40代)
―人生で初めて読んだ推理小説。ドキドキしながら読んだのを覚えています。(男性・40代)
(早川書房/著:アガサ・クリスティー/訳:黒原 敏行)
新婚旅行でエジプトを訪れていた美しい資産家リネット・リッジウェイは、行く先々でとある女性に付きまとわれていた。その女性とはかつてのリネットの親友ジャクリーンであり、リネットの夫はかつてジャクリーンの婚約者だったという過去があった。偶然エジプトを訪れていたポアロも乗せて、剣呑な空気のままナイル川を下るクルーズ船の旅が始まるのであった……。
中東の神秘的な美しさが存分に楽しめる作品であり、クルーズ船という隔離された空間で起きる様々な人間模様も興味深いですね。英国特務機関員でありポアロの旧友であるレイス大佐が登場する回でもあります。
<アンケートのコメント>
―「ナイルに死す」のトリックはとても面白いです。"これでもか、これでもか"と…。伏線もあっちこっちに散りばめられていて、気が抜けないお話ですね。誰も彼もが犯人に見えてくる…アガサミステリーの醍醐味です。とても大好きなお話です。(女性・50代)
―太陽と月に例えた2人の女性の関係性、ポアロの立ち聞きから始まるドラマチックなストーリー。エジプト観光も素晴らしく楽しく贅沢です。(女性・50代)
(早川書房/著:アガサ・クリスティー/訳:松下 祥子)
ミス・マープルの友人マギリカディ夫人はパディントン駅を4時50分に出発する列車に乗っていたが、並走する列車の車窓から殺人の現場を目撃してしまう。友人の話を信じたミス・マープルは警察に捜査を依頼するが、死体はおろか手がかりも見つからなかった。そこで知り合いの家政婦ルーシーに頼み、線路沿いに立つ屋敷ラザフォード・ホールに家政婦として潜入することを依頼することにしたが……。
並走する列車の中での殺人を目撃、という衝撃の幕開けをするエピソードです。ミス・マープルの目となり耳となり潜入捜査に挑むルーシーの有能ぶりに舌を巻くこと間違いなし。個人的にはジョーン・ヒクソン版のドラマの終わり方が爽やかで好きですね。
<アンケートのコメント>
―現場にも行かない安楽椅子探偵ぶりが最高です。タイトルも好きです。(女性・50代)
―電車でのすれ違いで、殺人を目撃するところから始まる面白さ。(女性・70代)
(早川書房/著:アガサ・クリスティー/訳: 羽田 詩津子)
探偵業を引退したポアロは田舎町キングス・アボットで庭いじりに勤しんでいた。しかし、町でも指折りの資産家であるロジャー・アクロイドが殺害され、彼の養子ラルフ・ペイトンに容疑が掛けられる。ラルフの婚約者であるフローラから、彼の無実を証明するために捜査を依頼されたポアロは久しぶりに事件捜査に乗り出すことに……。
何をどう話してもネタバレになりそうで恐ろしい作品の一つなのですが。探偵業を引退してなぜかかぼちゃ作りに挑戦しているポアロが、町医者を助手にして事件を捜査していきます。ドラマ版ではポワロが犯人の手記を読み上げながら事件の詳細を振り返る演出が印象的でした。
<アンケートのコメント>
―読み終わって、やられた、と思ったので。これは映像化むずかしいぞ、と思いましたが、ななかなかうまくドラマ化されていたのも良かったです。(女性・60代)
―小学生の時にクリスティー小説にはまり、読みあさりましたが、その中でもアクロイド殺しは読者の予想を良い意味で裏切るという意味で、そのインパクトは圧巻でした。(女性・60代)
(早川書房/著:アガサ・クリスティー/訳: 田村 隆一)
牧師の息子で元海兵のボビイ・ジョーンズは、ゴルフを楽しんでいたある日、崖下に転落した男性を発見する。救助のために駆け付けたボビイの前でかすかに息を吹き返した男はただ一言、「なぜエヴァンズに頼まなかったのか?」と言い残してこの世を去った。不可思議なこの一言と、男のポケットに入っていた美女の写真だけを手がかりに、ボビイは幼馴染のフランキーと共に事件の解決に挑む。
タイトルのつけ方があまりにも秀逸な作品です。ポアロやミス・マープルなどよく知られた名探偵ではなく、若く無鉄砲で、しかし行動力はある探偵業初心者の二人が主人公なので、少し新鮮な謎解きが楽しめるはずです。2022年製作のヒュー・ローリー監督・脚本の作品も記憶に新しいですね。
<アンケートのコメント>
―タイトルが秀逸です。崖下で発見した男性の最期の一言から、次々と事件が起こり主人公が巻き込まれていき、そのすべてが「なぜエヴァンズに頼まなかったのか」が分かった時に解決する。30年前に初めて読んだ時のその爽快感は未だに忘れません。(女性・50代)
(早川書房/著:アガサ・クリスティー/訳:川副 智子)
大富豪のシメオン・リーはクリスマスに家族を自身の邸宅に呼び集めることを思いつく。周囲の困惑をよそに疎遠になっていたものや一度もあったことのない孫娘まで呼び集め、いよいよ一族が揃ってクリスマスを迎えようというその最中、シメオン・リーが喉を掻き切られて絶命する。クリスマス休暇で警察署長の家に滞在していたポアロは、現場に駆け付けたサグデン警視の事件捜査に参加することに。
ドラマ版ではジャップ警部の謎に包まれた妻の実家について言及がなされたり、クリスマスプレゼントを交換したりと、心温まるシーンも多くクリスマスらしい(血みどろの殺人が起きていることは別にして)エピソードですね。冬のロンドンでは欠かせないセントラルヒーティングがぶっ壊れてしまったポワロさんがこれ幸いとシメオン・リー邸に赴くというのもドラマのポワロらしい導入だと思います。
<アンケートのコメント>
―これを読んでイギリスのクリスマスに興味を持ち、本場クリスマスプディングを食べてみたいと、いまだに思ってます。(女性・50代)
(早川書房/著:アガサ・クリスティー/訳:矢沢 聖子)
第一次世界大戦中、負傷兵として帰国していたヘイスティングスは友人の招待で田舎にあるスタイルズ荘に滞在することに。しかし、彼の滞在中にスタイルズ荘の女主人エミリー・イングルソープが殺害され、近くに滞在していたヘイスティングスの友人であるベルギー人のエルキュール・ポワロに捜査が依頼される。年下の夫と再婚したばかりの女主人を襲った突然の凶行の真相とは……。
言わずと知れたポアロ初登場作品ですね。ポアロ、ヘイスティングス、ジャップ警部のちょっと前の姿が垣間見える貴重なエピソードであり、物語としても非常に緻密です。怪しい人物は分かるけど決め手がない。犯人は分かったけど動機が分からない。犯人も動機も分かるけどトリックが分からない。……という感じでミステリー作品の醍醐味を楽しめる作品だと思います。
<アンケートのコメント>
―昔の映写機、当時の軍隊、SL汽車、クラッシックカー、郊外の金持ちの館、当時のテニスの服など、とにかく大がかりで、当時の時代を感じさせるモノばかりが出てきて、それらを見てるだけでも、時代を感じながら、ドラマを楽しめる。(男性・60代)
(早川書房/著:アガサ・クリスティー/訳:橋本 福夫)
豪邸ゴシントン・ホールを、大女優マリーナ・グレッグが買い取ったというニュースがセント・メアリー・ミードを駆け巡る。ところが地元住民や関係者を招いた新居お披露目パーティーの席で、彼女の熱心なファンであった女性が殺害される事件が起きてしまう。大勢の人間がいる場での突然の殺人事件。その真相とは?
ゴシントン・ホールといえば、『書斎の死体』で死体を置き去りにされて散々な目にあったバントリー大佐夫妻のお屋敷ですね。ジョーン・ヒクソン版のドラマではアーサー・バントリー大佐はすでにこの世を去り、妻ドリーは管理が大変な屋敷を手放して身軽な一人暮らしを楽しみながら、かつての自分の屋敷で起きたセンセーショナルな事件をミス・マープルがどのように紐解いていくのかを楽しんでいる様子。閑静なセント・メアリー・ミードと、華やかな映画スタジオの対比が印象的な作品でもあります。
<アンケートのコメント>
―衝動的殺人に至った犯人の深い思い、大女優を支える献身的な夫、豪邸を舞台に赴きのあるドラマ展開する奥の深い物語。(女性・60代)
―なにを見てそんな表情になったのか?というミスリードを取りながら謎が明かされていくストーリーと犯人の動機が相まってとても印象深い作品です(女性・50代)
(早川書房/著:アガサ・クリスティー/訳:田口 俊樹)
かつて殺人事件の舞台となったスタイルズ荘に再びやってきたヘイスティングス。彼をここへ呼び寄せたポアロは手足の自由が利かず車椅子姿となっていた。変わり果てた友の姿に言葉を失うヘイスティングスに対して、ポアロは自分に代わってスタイルズ荘の滞在客の情報収集を依頼するのだった。果たしてアロの真意とは……?
ポアロ最後の事件として非常に名高い作品です。変わり果てたスタイルズ荘でヘイスティングスと共に何も分からないまま情報を集めていく読者・視聴者たちに待ち受ける衝撃の真実……。 希代の名探偵との推理劇もこれが最後、という寂しさも相まって強烈な印象を残しました。
<アンケートのコメント>
―ポアロの死の直前、犯罪として立証不可能な殺人犯を追い詰める。自分の死を意識しながら、最後の力を振り絞る。善悪、正義とは何か、ポアロ人生をかけた作品で考えることがおおいです。(女性・50代)
―最後まで悪を憎み正義を貫き、命をかけて犯人と戦い、全てを終わらせたポアロの覚悟の死に、涙無くしては読めません。老いて余命いくばくもないポアロの最期の決意やヘイスティングスへの思い、それを知ったヘイスティングスの切なさに共感でき、深い感動を覚える名作です。事件解決に人生を捧げたポワロの孤独な死に胸が締め付けられるとともに、偉大な名探偵に尊敬の念を覚え、ポアロの軌跡をすべて読み返したくなります。(女性・60代)
(早川書房/著:アガサ・クリスティー/訳:乾 信一郎)
カリブ海での療養中に出会い、ともに事件を解決した大富豪ジェームズ・ラフィールが亡くなったことを知ったミス・マープルのもとに、まさにそのラフィールから手紙が届く。とある事件を解決してくれれば、遺産の中から二万ポンドを渡す、という旨の遺言を残したラフィールの意向に従い、手紙の指示の通り旅に出たミス・マープル。大富豪が復讐の女神に望んだ正義とはいったい何なのだろうか……?
『カリブ海の秘密』で出会ったジェースン・ラフィールが再び登場する作品(故人としてですが)で、先にこちらを知っていると、ミス・マープルの正義に対してラフィール氏がなぜここまで揺らがない信頼を寄せているのかがよりよく分かるかもしれません。鋭く、冷たく、重くもあるミス・マープルの正義を象徴した作品だと思います。
<アンケートのコメント>
―本当にミス・マープルこそ 復讐の女神だと思います。出てくる女性達がそれぞれとても個性的で印象的でした。ラストのお城みたいな豪邸も忘れられません。愛のいろんな面を女性らしい視点で描いた秀逸な作品。(女性・60代)
―復讐の女神は、「カリブ海の秘密」で友情を築いたラファールからのミス・マープルへの信頼がみえ、その想いに応えるようにミス・マープルが悪への勘を発揮させる。(女性・40代)
(早川書房/著:アガサ・クリスティー/訳:綾川 梓)
海岸を見渡せる豪邸を購入した若きリード夫妻。長く人の手を離れていた屋敷のリフォームに精を出す妻のグウェンダは、なぜか屋敷の隅々まで知っているような感覚に襲われるのだった。ひょんなことから知り合ったミス・マープルに打ち明けたグウェンダは、二人の助けを借りて屋敷について調べることに。やがて彼女の家族にまつわる重要な秘密へとつながっていく……。
長く眠っていた記憶が呼び起こされたことによって、暗い事件が解き明かされていくストーリーに思わず引き込まれてしまう作品です。ジェラルディン・マクイーワン版の方では、なんと夫が一切登場せず(電話のみ)、彼の部下である男性がグウェンダの捜査を手伝い、いい感じになって終わります。一方ジョーン・ヒクソン版では夫婦そろって捜査のために奔走します。危険が迫るグウェンダを守るために戦うアグレッシブなミス・マープルを観たい方はコチラもどうぞ。
<アンケートのコメント>
―主人公の幼い頃の記憶から謎が次々と現れるところが、初めて見た時にとても恐怖を感じ、面白かったのを覚えています。クリスティーの作品の中で一番好きです。(女性・60代)
―最後のハラハラする展開に意外な犯人が面白いです。(女性・40代)
(早川書房/著:アガサ・クリスティー/訳:山本 やよい)
ルーシー・クレールという女性から、16年前に夫殺しの罪で逮捕され獄中で亡くなった母親の無実を証明してほしい、と依頼を受けたポアロ。ポアロは当時の事件の関係者である五人の人物を訪ね、彼らの証言を元に事件の全容を解明していく。やがて明らかになる真実とは……。
過去に起きた犯罪を当事者への聞き取り調査によって明らかにしていくという手法で描かれる見事なストーリーです。最後に明らかになる事件の真相、そして関係者たちの心情の描き方も非常に繊細で、心に残る作品だと思いました。
<アンケートのコメント>
―設定、話の流れ、推理、全てが美しく心に残るストーリー(女性・50代)
―何度読んでもドキドキ、ワクワクします。登場人物の気持ち一人一人分かり色んな気持ちになり、犯人が分かるとスッキリさすがアガサ(女性・60代)
―それぞれの人物の見方・感じ方がこんなにも違うものかと驚かされるのと同時にその真相を突き止めていくポアロの洞察力のすごさに感動。(女性・60代)
(早川書房/著:アガサ・クリスティー/訳:高橋 恭美子)
ロンドンで神父が撲殺され、彼の靴の中から九名の人間の名前が記された紙片が見つかった。そのうちの何名かがすでに亡くなっていることに気が付いた学者のマーク・イースターブルックは、独自に調査を始めることに。やがて彼は、謎めいた女性たちが人を呪い殺す古い館の存在を知ることになるが…・・・・。
オカルト的な雰囲気が立ち込める一風変わったミステリー作品ですね。原作に大胆なアレンジを加えた2020年製作のBBCドラマは、不気味な雰囲気がより高まっており、独特の余韻がある終わり方でした。ジェラルディン・マクイーワン版では、本来原作には登場しないミス・マープルが、一連の事件のきっかけとなる神父の知り合いとして登場。「蒼ざめた馬」の謎を解くため活躍します。
<アンケートのコメント>
―深く趣のある素晴らしいストーリー(女性・70代)
―これを読んだ看護婦が、自分の病院に連れ込まれた患者が小説中の症状とそっくりなので気がついて、手当てが間に合ったという記事を何十年か前に読んだことがある。(男性・50代)
(早川書房/著:アガサ・クリスティー/訳:山本 やよい)
投資会社社長が謎の死を遂げ、手がかりとして残されたのは、ポケットの中の一握りのライ麦だけだった。その後彼の屋敷で立て続けに二件の殺人事件が発生し、かつて自分が家事仕事を教えた女性がメイドとして働いている家だと知ったミス・マープルは新聞の住所を頼りに屋敷へと向かうことに。「マザーグース」の歌になぞらえた連続殺人の真相とは?
いわゆる「見立て殺人」の初期作品として有名ですね。登場人物たちの関係性や、言葉の端々に着目することで、少しずつ謎を解いていく楽しみがあります。個人的にはジュリア・マッケンジー版ドラマのエンディングは非常によくできていると思います。
<アンケートのコメント>
―小さなエピソードや言葉の積み重ねに答えがあったことに気付かされるところが面白いです。(女性・60代)
―登場人物が皆魅力的で、見立て殺人をテンポよく解決していくところがいい。(女性・30代)
(早川書房/著:アガサ・クリスティー/訳:乾 信一郎)
古き良きエドワード王朝時代の面影を色濃く残すバートラム・ホテル。再びこのホテルを訪れたミス・マープルは、懐かしき少女の時代に思いを馳せながら穏やかな滞在を楽しむのだが、ここでも思わぬ犯罪を暴き出すことになり……。
ジェラルディン・マクイーワン版のドラマでは、ぶっきらぼうな刑事とホテルのメイドがミス・マープルのアシスタントとなり、ホテルで巻き起こる犯罪を解き明かしていきます。大胆なアレンジが加わっていますが、これはこれで非常にまとまったストーリーとなっています。原作に忠実に映像化したジョーン・ヒクソン版と合わせて楽しみたいですね。
<アンケートのコメント>
―古き良き時代と突きつけられる現実を見事に表現している。 昔は良かったという言葉は好きではないが、美しい思い出の象徴が失われるのは寂しいかな。(女性・50代)
―どうしてもヒクソン版マープルになってしまうのですが、ホテルでの食事シーンでのマフィンとシードケーキのやり取りが大好きです。(女性・50代)
※第18位は同率
(早川書房/著:アガサ・クリスティー/訳:田村 義進)
イラクのアッシリア遺跡のほど近くの宿舎で、調査隊のリーダー、ライドナー博士の妻ルイーズが撲殺される。考古学者と再婚したルイーズは、死の直前まで亡くなったはずの前夫から脅迫状を受け取っていた。現地の警察はシリアからバグダッドへ向けて旅行中だったポアロに捜査を依頼した。事件の真相とは……?
クリスティー作品の魅力の一つである異国情緒あふれる中東を舞台にした作品ですね。ドラマ版では、原作には登場しないヘイスティングスが甥に会うために中東に登場。いつも通りポワロのアシスタントを務めています。犯行のトリックやアリバイ工作が、実に読み手・視聴者を上手く誘導する演出になっており、頭をフル回転させて謎解きできる作品です。
<アンケートのコメント>
―舞台のメソポタミアの砂漠の中の雰囲気が出ていて、その当時が感じられて良い。(男性・60代)
※第18位は同率
(早川書房/著:アガサ・クリスティー/訳:加島 祥造)
富豪の老婦人エミリー・アランデルから、親族の誰かから命を狙われているという旨の手紙を受け取ったポアロだったが、その時すでに老婦人はこの世を去り、一人の家政婦に莫大な遺産を託す遺言書を残していた。事態の真相を究明するべく動き出したポアロだったが、すべてを目撃していた唯一の証人は、老婦人が可愛がっていたボブという一匹の犬だけだった……。
原作ではポアロは老婦人から手紙を受け取っただけで、彼が実際に動き出すのは事件が起きてからなのですが、デヴィッド・スーシェ主演のドラマ版では冒頭からポワロが老婦人と会話をし、さらには怪しい親族をあぶりだすために遺言書の書き換えを助言するなど積極的に介入しています。そのほかにも細かな違いがあるのですが、映像化されるとボブの可愛さが際立ちますね。最初は苦手だったボブを憎からず思うようになるポワロにも必見です。
<アンケートのコメント>
―犬が目撃者という設定で、犬の仕草から、犯人に辿り着くというストーリーが面白い。(男性・60代)
―とにかく、最後のポアロのセリフと2人の女性の受けが秀逸。 (女性・60代)
―湖の風景と犬。風変わりな老姉妹とか登場人物の豊かさ。ポアロがエアデールテリアを連れている姿は犬好きにはたまりません。(女性・60代)
―几帳面で綺麗好き、生き物は苦手⁈だと思っていました。そんなポワロさんがボブと仲良しになり一緒に事件を解決していく。最後のボートに乗ったポワロさんと船着場のボブのシーンは、何度観ても胸が熱くなります。(女性・50代)
(早川書房/著:アガサ・クリスティー/訳:小笠原 豊樹)
莫大な資産を持つ資産家レイチェル・アーガイルが殺害され、彼女の養子の一人ジャッコが容疑者として逮捕される。獄中で無実を訴え続けたジャッコだったが、彼もまた釈放されることなくこの世を去ってしまう。しかし、その二年後。ジャッコのアリバイを証明できると主張する男がアーガイル邸の扉を叩いたことで、終わったはずの事件に一石が投じられる。ジャッコが無実だったのだとすれば、真犯人はいったい誰なのか?
2018年に製作された同タイトルのBBCドラマが記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。ミスリードを誘う巧みな演出と、大胆なアレンジを加えたエンディングで話題になりました。ジェラルディン・マクイーワンが主演を務めた『ミス・マープル』シーズン3第2話「無実はさいなむ」も本作をアレンジしたエピソードです。本来原作には登場しないミス・マープルがどのように活躍するのか?上手く落とし込まれたシナリオとなっていると思いますので、こちらもおすすめです。
<アンケートのコメント>
―無実はさいなむは名探偵が出てこないが、犯人が見つからない限りはすべての人が容疑者という緊迫感が好き。あとは過去の殺人事件をあとになってから謎解きするパターンが好き。(女性・60代)
―畳み掛けるようなどんでん返しが、驚きに満ちていて、アガサ・クリスティーと言ったらポアロですが、この作品は作者の才能をとても感じました。(女性・60代)
【調査概要】
調査対象 ミステリーチャンネル メールマガジン会員
調査期間 2023/11/1~11/12
調査機関 ミステリーチャンネル
調査方法 インターネット
有効回答数 1,078件
長くなりましたがここまでお読みいただきありがとうございます!
普段からミステリードラマをたくさん観ているミステリーファンが選ぶとこうなるのか、という非常に興味深いランキングだったと思います。 なんと今回のアンケートではアガサ・クリスティーが手掛けた長編小説はすべて名前が挙がっていました。もちろん、票数の差で惜しくもランク外となってしまったものも多いのですが、視聴者の皆様のミステリー愛の深さに脱帽する結果でした。ぜひ今回の記事を、お気に入りの作品を読み直したり、ドラマ版を視聴して新規開拓をしたりなどのきっかけとしていただけたら幸いです。
【放送情報】
ミステリーチャンネルでは、メルマガ会員がおススメするアガサ・クリスティー作品を放送!
●ミス・マープル ジョーン・ヒクソン版(全22話)
字幕版:2/11(日)朝6:00 一挙放送
★ミステリーチャンネルオンデマンドにて見逃し配信致します。
●名探偵ポワロ(10話)
二カ国語版:2/12(月・振休)午前11:00 一挙放送
もの言えぬ証人/メソポタミア殺人事件/五匹の子豚/スタイルズ荘の怪事件/オリエント急行の殺人/ABC殺人事件/ナイルに死す/アクロイド殺人事件/ポワロのクリスマス/カーテン~ポワロ最後の事件~
ミステリーチャンネルオンデマンドでの見逃し配信の詳細はこちら
※各番組の放送情報はミステリーチャンネル番組公式サイト、またはチャンネルカスタマーセンターまでお問い合わせください。
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世界各国の上質なドラマをお届けする日本唯一のミステリー専門チャンネル。「名探偵ポワロ」「ミス・マープル」「シャーロック・ホームズの冒険」「ヴェラ~信念の女警部~」「SHERLOCK シャーロック」など英国の本格ミステリーをはじめ、「アストリッドとラファエル文書係の事件録」などのヨーロッパの話題作や「刑事コロンボ」といった名作、人気小説が原作の日本のミステリーまで、選りすぐりのドラマが集結!ここでしか見られない独占放送の最新作も続々オンエア!
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