事件の謎解きを楽しみ、物語の世界にどっぷりと浸ることができるミステリー小説。犯人やトリックを解明した瞬間の喜びはなんとも言えないもの。予想もしていなかったどんでん返しが訪れた時には、ページを戻して読み返し、トリックに気づいていくゾクゾク体験も味わうことができます。何度読んでも面白い、何度でも騙されたい、見事な伏線回収に唸りたい、そんな方におすすめのどんでん返しがすごいミステリー小説をご紹介します!
どんでん返しがすごいミステリー小説は、物語に巧みな伏線が張られているのがポイント。読めば読むほど謎が深まり、二転三転する展開にラストが想像できなくなる面白さに引き込まれます。ミステリー小説に読み慣れている読者でも、意外な犯人の正体や事件の真相が明かされ、驚くこともしばしば。どんでん返しに驚かされると、またページをめくりたくなるのもどんでん返しがすごい小説の魅力です。何度も読むことから気づけば愛読書になることも。お気に入りのミステリー小説を探している方にもおすすめです!
赤川次郎(著)
出版社(レーベル):文春文庫
フランス留学から帰国した上田修一は、恩師の紹介でフランス語の家庭教師に。3ヶ月の住み込みで報酬は100万円、教えるのは広大な敷地に洋館を構える峯岸家の美人姉妹。ある日修一は洋館の地下にある牢獄を見つけ、幽閉されている三女の雅子と出会う。ガラスのように脆い神経をもった美少女を助けだそうとするが、それは新たなる連続殺人の始まりだった!
赤川次郎の処女長編は息もつかせぬストーリー展開で読む人を世界観に誘います。最後の最後まで真犯人は誰なのか振り回され続けてからの意外な結末へ。何度も読み返して伏線回収の楽しさを味わえる一冊です。
知念実希人(著)
出版社(レーベル):実業之日本社
雪深き森で、燦然と輝く、硝子の塔。地上11階、地下1階、唯一無二の美しく巨大な尖塔に、ミステリを愛する大富豪の呼びかけで、刑事、霊能力者、小説家、料理人など、一癖も二癖もあるゲストたちが招かれた。この館で次々と惨劇が起こる。館の主人が毒殺され、ダイニングでは火事が起き血塗れの遺体が。さらには血文字で記された十三年前の事件……。名探偵・碧月夜と医師・一条遊馬が謎を追う。
著者初の本格ミステリーはクローズド・サークル。館の形も位置する場所も、やってくる人々もミステリー好きの心をワクワクさせる設定な上に、他の作品のオマージュを感じる箇所もたくさんあり、読みやすいのが魅力。謎が謎を呼ぶ構成、伏線回収、待ち構えるどんでん返し。ミステリーらしいミステリーです。
道尾秀介(著)
出版社(レーベル):講談社文庫
人生に敗れ、詐欺を生業として生きる中年二人組。ある日、彼らの生活に一人の少女が舞い込む。やがて同居人は増え、5人と1匹に。「他人同士」の奇妙な生活が始まったが、残酷な過去は彼らを離さない。各々の人生を懸け、彼らが企てた大計画とは?
人生を賭けた大計画を企てる二人の詐欺師。種明かしのラストまで目が離せないスピーディーな展開でページを捲る手が止まりません。どんでん返しありと分かっていながらも、騙される快感が味わえます。ほっこり心温まる人間ドラマ部分も魅力です。
相沢沙呼(著)
出版社(レーベル):講談社文庫
死者が視える霊媒・城塚翡翠と、推理作家・香月史郎。心霊と論理を組み合わせ真実を導き出す二人は、世間を騒がす連続死体遺棄事件に立ち向かう。証拠を残さない連続殺人鬼に辿り着けるのはもはや翡翠の持つ超常の力だけ。だがその魔手は彼女へと迫り――。
終盤手前で「解けたかも…」と思わせてからの展開が怒涛で爽快。短編で描かれる事件が最終話で繋がりハッと驚くという構成。まさにどんでん返しを楽しむための一冊。オチを知った上で、読み返してみると、なるほどの伏線がいっぱいで思わずニヤリとしちゃうかも。
夕木春央(著)
出版社(レーベル):講談社文庫
友人と従兄と山奥の地下建築を訪れた柊一は、偶然出会った家族と地下建築「方舟」で夜を過ごすことになった。翌日の明け方、地震が発生し、扉が岩でふさがれ、水が流入しはじめた。いずれ「方舟」は水没する。そんな矢先に殺人事件が起きる。誰か一人を犠牲にすれば脱出できる。タイムリミットまでおよそ1週間。生贄になるべきなのは犯人。犯人以外の全員がそう思っていた。
時間の制約がある中で展開する予測不能のストーリー。犯人の動機に「は?」と思った後、エピローグでガツンと驚かされます。この状況だから起きてしまった事件。ありえない……と感じる状況にも説明がしっかりとついてくるので、人間の本能や生きることへの貪欲さ、綺麗事が通用しない感じがリアルで心に残ります。
岡崎琢磨(著)
出版社(レーベル):PHP研究所
大御所ミステリー作家・室見響子の遺稿が見つかった。それは彼女が小説家になる前に書いた『鏡の国』という私小説を、死の直前に手直ししたものだった。「室見響子、最後の本」として出版の準備が進んでいたところ、担当編集者が著作権継承者である響子の姪を訪ね、突然こう告げる。「『鏡の国』には、削除されたエピソードがあると思います」――。
ミステリー作家の遺稿。その設定だけで、期待せずにはいられません。本の中で本を読むというという、まさに1粒で2度美味しい体験ができる本作は、あらゆるものが伏線となっているのがポイント。人間ドラマとしてのどんでん返しが魅力です。
織守きょうや(著)
出版社(レーベル):文春文庫
憧れの家庭教師だった真壁が結婚を前に脅されていることを知り、僕は尻込みする彼にかわり探偵事務所に調査を依頼。そこに現れたのは中学時代にいじめに遭っていた従兄をえげつない方法で救ってくれた先輩の理花だった――。
調査を進めるにつれ見えてくる真実と、背筋が凍るラストが待っています。恐怖感がどんどん増していく中、最後にゾッとさせられます。自分ならどうするのかを考えながら、再びゾクゾクとする、読後はしばらく衝撃のラストを引きずります。
米澤穂信(著)
出版社(レーベル):新潮文庫
夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。翌年も翌々年も同日に吹子の近親者が殺害され、四年目にはさらに凄惨な事件が。優雅な「バベルの会」をめぐる邪悪な五つの事件に隠された残酷な真実とは。
短編五篇からなる一冊。全部が少しずつ繋がっていて、結末ではゾクっと感と共に、「え」「まさか」という気持ちに。悪を悪と思わないお嬢様たちの狂気に恐怖を感じるのですが、それ以上に恐怖を引き立てるのがその独特の語り口。全編どんよりとした空気が漂う、かなりブラックで邪悪なミステリーです。
岡嶋二人(著)
出版社(レーベル):講談社文庫
東北の牧場で牧場長と競馬評論家・大友隆一が殺され、サラブレッドの母子、モンパレットとパステルが銃撃された。隆一の妻である香苗は競馬の知識は一切持っていなかったが、夫の死に疑問を抱き、次々と怪事件に襲われる。一連の事件の裏には、競馬界を揺るがす恐るべき秘密が隠されていた。
二人で一人の作家、岡嶋二人のデビュー作にして江戸川乱歩賞受賞作。事件の真相がなかなか見えないまま読み進め、最後に明らかになる真相と犯人にビックリ。30年以上前に書かれた作品ですが古さはほとんど感じません。終盤での二転三転を楽しみながら、最後まで飽きずに読み進められます。
カーター・ディクソン(著) 高沢治(訳)
出版社(レーベル):東京創元社
数学の教授だったアレックは六十、年の離れた妻リタと村はずれで平穏に暮らしていたが、バリーという若造の出現で状況は一変。ある晩、リタとバリーは突如姿を消し、海へ真っ逆さまの断崖まで足跡がついていた。二日後遺体は発見されたが、腑に落ちない点が多すぎる。二人の死は心中か殺人か、村に住む老医師が綴った手記から浮かび上がる真相とは――。
ヘンリー・メリヴェール卿もルーク医師の推理も、新たな事実が明らかになることで二転三転するのが楽しい。何度も美しい謎解きが見られるのがミステリー好きにはたまりません。予想外の犯人に読後感には切なさも漂います。
湊かなえ(著)
出版社(レーベル):講談社文庫
深瀬和久は平凡なサラリーマン。唯一の趣味は、美味しいコーヒーを淹れる事だ。そんな深瀬が自宅以外でリラックスできる場所は、自宅近所にあるクローバーコーヒー。ある日、深瀬はそこで、越智美穂子という女性と出会う。淡々とした日々が急に華やぎはじめ、未来のことも考え始めた矢先、美穂子にある告発文が届く。そこには「深瀬和久は人殺しだ」と書かれていた――。
誰が何を隠しているのか。犯人は一体誰なのか。疑いながら読み進めていくと最後の最後でどんでん返し。ラスト前にハッピーエンドを匂わせてからのどんでん返しは、よりビックリ度がアップします。何度読んでも、最後の1行のやられた感をしっかり味わえます。
東野圭吾(著)
出版社(レーベル):講談社文庫
8人の男女が集まる山荘に、逃亡中の銀行強盗が侵入した。外部との連絡を断たれた8人は脱出を試みるが、ことごとく失敗に終わる。恐怖と緊張が高まる中、ついに1人が殺される。だが状況から考えて、犯人は強盗たちではありえなかった。7人の男女は互いに疑心暗鬼にかられ、パニックに陥っていった――。
どんでん返しといえばどんでん返しの、あまり後味はよくない、無念さが残るような悲しい結末が待っています。結末を知り、後から気づくことが随所にあり、やはりこれはミステリー作品だと納得させられます。
M・W・クレイヴン(著) 東野さやか(訳)
出版社(レーベル):早川書房
イギリス、カンブリア州のストーンサークルで次々と焼死体が発見された。マスコミに「イモレーション・マン」と名付けられた犯人は死体を猟奇的に損壊しており、三番目の被害者にはなぜか、不祥事を起こして停職中のNCA(国家犯罪対策庁)の警察官「ワシントン・ポー」の名前と「5」の字が刻み付けられていた。身に覚えのないポーは上司の判断で停職を解かれ、捜査に合流することに。そして新たな死体が発見されて……。
英国推理作家協会賞最優秀長篇賞ゴールドダガー受賞作が仕掛ける、予想を裏切る結末はもちろん、ポー&ブラッドショーのコンビが誰も思いつかない大胆な手法で犯人に迫る姿にドキドキワクワク。二人のコンビ感が事件の後味の悪さを緩和してくれる気も。このコンビがいる世界観、たまりません。
浅倉秋成(著)
出版社(レーベル):KADOKAWA/角川文庫
成長著しいIT企業の新卒採用最終選考に残った六人の就活生に与えられた課題は、一カ月後までにチームを作り上げ、ディスカッションをするというものだった。全員で内定を得るため、波多野祥吾は五人の学生と交流を深めていくが、本番直前に課題の変更が通達される。仲間だったはずの六人は、ひとつの席を奪い合うライバルとなり内定を賭けた議論が進む中、六通の封筒が発見される。個人名が書かれた封筒には「●●は人殺し」だという告発文が入っていた。
封筒が開封されるごとに、新事実が発覚し、キャラクターの見方が二転三転していきます。就活というある意味、普段とは少し違う心理状態の中で、グループディスカッションを舞台に繰り広げられる心理戦にハラハラドキドキ。疑心暗鬼の連鎖に陥っていく六人の姿が実にリアルです。浜辺美波、赤楚衛二、佐野勇斗ら共演で実写映画化。2024年11月22日公開。
道尾秀介(著)
出版社(レーベル):文春文庫
“写真”が暴くもうひとつの真相。あなたは見抜けるか。各章の最終ページに登場する一枚の写真。その意味が解った瞬間、読んでいた物語は一変する――。
一見平和に見える地で起きた事件を綴る連作短編集。各章の最終ページに掲載された1枚の写真から、読者も推理をする参加型ミステリーです。写真の登場まで、騙されないよう警戒しながら読み進めていくのですが、それでもやっぱりラストで華麗にひっくり返される。この騙された感はクセになります。挑戦的な構成、仕掛けなので、まずは一度体験してみて!
米澤穂信(著)
出版社(レーベル):新潮文庫
「もういいんです」人を殺めた女は控訴を取り下げ、静かに刑に服したが……。鮮やかな幕切れに真の動機が浮上する表題作をはじめ、恋人との復縁を望む主人公が訪れる「死人宿」、美しき中学生姉妹による官能と戦慄の「柘榴(ざくろ)」、ビジネスマンが最悪の状況に直面する息詰まる傑作「万灯」他、「夜警」「関守」の全六篇を収録。
史上初めての三冠を達成したミステリー短篇集の金字塔。山本周五郎賞受賞作。書影からも漂うダークテイストな魅力に溢れる一冊。短編とは思えない一捻りも二捻りもある濃厚なストーリーが展開。六篇は連作ではないので、繋がりもないことがかえって「何か意味があるのか……」と思わせます。文体も違う六種の物語でタイプの違うどんでん返しが贅沢に味わえます。
セバスチャン・フィツェック(著) 酒寄進一(訳)
出版社(レーベル):文春文庫
娘を救いたければ、お前の乗っている旅客機を落とせ!脅迫される精神科医、誘拐犯を追う女医。犯人は機内にいるのか、それとも……。
地上と上空で事件が同時進行していきます。飛行機という閉鎖空間、タイムリミット、人質ありで、ハラハラドキドキが止まらず、常に緊迫感が漂います。この作品の面白さは人物相関図にもあり。「この人が?」「え?その人が?」という展開にかなり振り回されますが、途中から「いっそのこと振り回して」と思えるくらいの気持ちよさを感じるほどになるのも魅力?!
アルネ・ダール(著) 田口俊樹(訳) 矢島真理(訳)
出版社(レーベル):小学館文庫
広大な雪原に建つ病院の中で男は目覚めた。医師から「サム」と呼びかけられた男は、記憶を失いながらも本能にかき立てられる如く、逃走を試みる――。
北欧発のミステリーシリーズ、「サム・ベリエル」シリーズ第二弾です。前作『時計仕掛けの歪んだ罠』も驚きのラストでミステリーファンを楽しませてくれましたが、第二弾でもその魅力を発揮。意表をつく展開の連続で、ページを捲る手が止まりません。アルネ・ダール作品の魅力は、細かく丁寧な描写なのに、何が起きているのか理解できないまま話が進んでいくところ。そして「分かったかも」「見えたかも」となった瞬間に真相がガラリ。そして前作同様、すぐに次作が待ち遠しくなるラストにやられます。
ジェフリー・ディーヴァー(著) 池田真紀子(訳)
出版社(レーベル):文藝春秋
優秀なエンジニア、アリソンが娘とともに姿を消した。DVで投獄されていた元夫ジョンが突如出所、彼は自分を告発したアリソンを憎んでいるという。元刑事のジョンは、そのスキルを駆使して逃亡したアリソンを追っていた。ジョンより早く彼女を発見してほしい――コルター・ショウのもとに依頼が舞い込んだ。依頼人はアリソンの雇い主。彼も事態を深く憂慮していたのだ。しかしほどなくして、ジョンと関係の深い犯罪組織からも二人組の殺し屋が送り込まれたことが判明した。
英フィナンシャル・タイムズが「最後の逆転にやられる確率100%」と絶賛したミステリーの巨匠が贈るサプライズ・ミステリーは、どんでん返しがなんと20回を超えるというサプライズ尽くしの一冊。宣伝文句の20回超えというのは気にせずに読み進めれば、素直に騙されます。娯楽感たっぷりな読みやすさもおすすめポイント。
サイモン・モックラー(著) 冨田ひろみ(訳)
出版社(レーベル):東京創元社
北極圏にある陸軍の極秘基地で発生した火災の調査を依頼された精神科医のジャック。発電室で出火し、2名が死亡。重度の火傷を負って昏睡から目覚めたコナーは、唯一の生き残りなのだが、何が起きたのか思い出せないという。同じ火災現場で発見された遺体は、一方はかろうじて人間の形を残していたが、もう一方は灰と骨と歯の塊だった。遺体の状態にこのような差が出たのはなぜなのか。
1967年の米国を舞台にグリーンランドの陸軍極秘基地での事件の真相を探るミステリー。焼けた遺体。ミステリー好きならトリックをある程度予想しつつ読み進めるとは思いますが、ジャックの頭脳やフットワークの軽さをあわせてもなかなか真相に辿りつかないのが面白い。少しずつ真実が見えてくる(見えそうで見えないも含めての)ゾクゾク感と後半の大きなどんでん返しとのバランスが見事。
発売日:2015年3月13日
出版社:東京創元社
著者名:青崎有吾
風ヶ丘高校の旧体育館で起きた放送部の少年の刺殺事件。警察は密室状態の体育館にいた唯一の人物、女子卓球部部長の犯行だと決めてかかります。部長を救うために卓球部員・柚乃が真相の解明を頼んだ相手は、学校に住み着くオタクにして天才の裏染天馬。全体的にライトな雰囲気なので、ミステリー初心者にも読みやすいですが、トリックは本格的。「読者への挑戦状」といったエラリー・クイーンスタイルが楽しめるのも本作の魅力。
発売日:2006年12月21日
出版社:東京創元社
著者名:伊坂幸太郎
「一緒に本屋を襲わないか」と本屋襲撃を持ちかけられる突拍子もない始まりの物語と、ペット虐待犯を追う物語。一見関係なさそうな2つの話が次第に交わっていく過程と、丁寧な伏線回収が魅力の作品。「もしかして…」と河崎の存在に答えを見出せそうになっても、なかなか確信が持てず、最後まで振り回され、騙されていく楽しさが味わえます。タイトルの意味が分かった時に、また読み返したくなる一冊です。
発売日:2010年6月30日
出版社:東京創元社
著者名:ビル・S・バリンジャー
なんとクライマックスを袋とじにして「袋とじを破らなければ返品します」と、書籍そのものに仕掛けを施して話題に。これはとんでもない結末が待っているに違いないと、期待させる一冊。法廷での裁判シーンと奇術師リュウの運命、二つの物語が交互に描かれ、多数のミステリ作家が「参考書」に相応しいと話すほど、後世のミステリ小説に影響を与えた1955年出版の古典的な作品です。
発売日:2017年10月19日
出版社:早川書房
著者名:櫛木理宇
鬱屈した日々を送る大学生・筧井雅也に届いた一通の手紙。そこに書かれていたのはかつての知り合いで、今は連続殺人犯となっている榛村大和からのメッセージ。唯一の冤罪の証明を託された筧井が明らかにしていく残酷な真実とは。人の心を巧みに操る榛村に翻弄されながら、嫌な読後感が残ったとしても、「このままでは終わらせてくれなさそう」という期待には見事に応えてくれる結末。
発売日:2014年12月5日
出版社:早川書房
著者名:エラリイ・クイーン
不幸な過去を抱えた旧家で起きる奇怪な毒殺事件。名探偵エラリイが見出した苦い結末とは…。複雑に入り組む人間関係が繰り広げる濃厚な人間ドラマでなかなか先の展開が読めないところに読み応えを感じます。やっとの思いで辿り着いたラストには予想もしないどんでん返しが待っています。たった一つの事実、手がかりでバラバラだった推理のピースがハマっていく感覚がたまりません
発売日:2004年8月13日
出版社:東京創元社
著者名:中町信
時代が変わっても通用するトリックと、時代が変わることで通用しないように感じるトリックもあります。本作の舞台は高度成長期。昭和の名作ミステリーを読んでみたいという方におすすめしたい作品です。上梓から40年後に大幅な改稿を重ねた一冊が埋もれた名作として紹介され、一気に部数を伸ばしたという稀な作品。発表当時に部数が伸びなかった理由、40年後に部数を大幅に伸ばした理由を解明するのも、本作ならではの楽しみ方かも!
発売日:2019年9月13日
出版社:東京創元社
著者名:今村昌弘
大学ミステリ愛好会会長とその助手、そして同じ大学に通うもう一人の名探偵が参加したいわくつきの映研の夏合宿。そこで起こるクローズドサークルでの連続殺人が描かれます。たった1時間半で世界がいっぺん。スリリングなストーリー展開に引き込まれます。ミステリーの王道的展開を見せたかと思いきや、ゾンビの登場でラストは予測不可能に。数々のミステリランキングで1位に輝いた第27回鮎川哲也賞受賞作。
発売日:2021年11月17日
出版社:早川書房
著者名:逢坂冬馬
独ソ戦の最中ドイツ軍によって母親や村人を殺された少女・セラフィマが、復讐を胸に女性狙撃兵となって、スターリングラードの前線に向かう姿が描かれます。女性の視点から描かれる戦争、そして男たちの姿。本当の敵とは何なのかを考えさせられるラスト、第六章の内容に「まさか、こんな結末に」と驚かされます。2022年本屋大賞、第11回アガサ・クリスティー賞大賞受賞。
発売日:2019年6月28日
出版社:東京創元社
著者名:市川憂人
小型飛行船〈ジェリーフィッシュ〉の航行試験中に、閉鎖状況の艇内で発見された1人のメンバーの死体。さらに自動航行システムが暴走し、試験機ごと雪山に閉じ込められ、1人、また1人と犠牲者が発生していきます。犯人は分かってもトリックがなかなか分からない。犯人の告白後の展開にハッとし、もう一度読み返し、今度こそ違和感を見つけたいと挑みたくなる一冊。
発売日:2018年9月28日
出版社:東京創元社
著者名:アンソニー・ホロヴィッツ
現代ミステリーの名手・アンソニー・ホロヴィッツのミステリー小説。上下巻。原作を読んで人生が変わったという編集者の語りから入り、小説の中の小説という設定で展開していくのも本作の面白さ。上巻では描かれるのは鍵のかかった屋敷で起きた家政婦の死を、余命わずかな名探偵・ピュントが推理し、犯人が分かったところまで。アガサ・クリスティーへの愛に満ちたオマージュ・ミステリー。クリスティーの魅力を存分に堪能できます。
発売日:1999年9月24日
出版社:東京創元社
著者名:キャロル・オコンネル
成績優秀な美少女と、ホラーマニアの問題児。10歳の少女2人が誘拐犯と対峙するミステリー。600ページ超の一冊なので、なかなか手が出せないという声も聞こえてきそうですが真実を知った時のゾワゾワ感は一度体感しておきたいところ。謎が解かれるのは最後の最後ではあるのですが、邦題にも原題にも深い意味があると知り、張り巡らされた伏線を改めて確認したくなります。
発売日:2020年3月5日
出版社:早川書房
著者名:ディーリア・オーエンズ
ノースカロライナ州の湿地で発見された青年の遺体。村の人々は6歳で家族に見捨てられ、人々に蔑まれながらたった一人湿地で生き抜いてきた「湿地の少女」カイアに疑いの目を向けます。カイアは果たして犯人なのか…。現在と過去を行き来しながらどう繋がるのかを探るべく、そしてカイアの幸せを願いながら読み進めてしまいます。最後の最後、数ページに待つ結末に何度でも驚きたくなります。
発売日:2009年11月13日
出版社:東京創元社
著者名:アントニイ・バークリー
ロジャー・シェリンガムが創設した「犯罪研究会」の面々は、迷宮入り寸前の難事件に挑むことに。被害者は、毒がしこまれた新製品という触れ込みのチョコレートを試食した夫妻。夫は一命を取り留めますが、夫人は死亡。しかし、そのチョコレートは夫妻ではなく他人へ送られたものだと判明。事件の真相や如何に…。「犯罪研究会」の面々が次々に自分の推理を披露。推理合戦が好きな方におすすめの一冊。
発売日:2008年8月5日
出版社:文春文庫
著者名:東野圭吾
直木賞を受賞した大ベストセラー! 天才数学者でありながら不遇な日々を送っていた高校教師の石神が秘かな想いを寄せているのは、一人娘と暮らす隣人の靖子。彼女たちが前夫を殺害したことを知った彼は、2人を救うため完全犯罪を企てます。しかし皮肉にも、石神のかつての親友である物理学者の湯川学が、その謎に挑むことに…。美しいトリック、最後のどんでん返し、人間ドラマとしても楽しめる、贅沢なミステリー小説です。
発売日:2007年10月16日
出版社:講談社
著者名:綾辻行人
ミステリー初心者にもおすすめの本格派ミステリーの定番、綾辻行人の「館シリーズ」第1作目。大学ミステリ研究会の七人が訪れた十角形の奇妙な館の建つ孤島・角島。この奇妙な館を建てた建築家は、半年前に炎上した青屋敷で焼死。やがてミス研のメンバーが一人、また一人と殺される連続殺人が発生。どんでん返しはもちろん、登場人物がミス研メンバーという設定なので、殺人事件の謎を解くためにいくつもの説を浮上させ検討する、さまざまな推理が楽しめる魅力もあり!
発売日:2011年2月4日
出版社:宝島社
著者名:中山七里
マンションの13階からぶら下げられた女性の全裸死体。口にはフック、傍らには子供が書いたような稚拙な犯行声明文。街を恐怖と混乱の渦に陥れる殺人鬼「カエル男」による最初の犯行だ。警察の捜査が進展しない中、第二、第三と殺人事件が発生し、街中はパニックに…。無秩序に猟奇的な殺人を続けるカエル男の目的とは? その正体とは? 騙された、なるほどと思っていると、また次のどんでん返しがやってくるので、最後の一行まで目が離せません!
発売日:2007年4月10日
出版社:文春文庫
著者名:乾くるみ
僕がマユに出会ったのは、代打で呼ばれた合コンの席。やがて僕らは恋に落ちて…。甘美で、ときにほろ苦い青春のひとときを瑞々しいタッチで描いたちょっぴりビターな青春恋愛小説かと思いきや、最後の数行で衝撃のラストを迎えます。どんでん返し小説でこの作品を思い出す方も多い、「必ず二回読みたくなる」と絶賛された青春ミステリーの名作です。衝撃のラストを迎えたとき、伏線が気になって何度も読み返したくなります。
発売日:2010年11月10日
出版社:文春文庫
著者名:ジェフリー・ディーヴァー 池田真紀子
“ウォッチメイカー”と名乗る殺人者。手口は残忍で、いずれの現場にもアンティークの時計が残されていました。やがて犯人が同じ時計を10個買っていることが判明。被害者候補はあと8人…。“人間嘘発見器”こと尋問の天才キャサリン・ダンス捜査官とともに、リンカーン・ライムがウォッチメイカー阻止に奔走します。上巻では振り回され、捻りまくられ、うまく踊らされる感を味わい、下巻でどんでん返しの驚き(実際には「なんでだ~!」という感情)を味わう一冊です。
アガサ・クリスティー(著) 山本やよい(訳)
出版社(レーベル):早川書房
真冬の欧州を走る豪華列車オリエント急行には、国籍も身分も様々な乗客が乗り込んでいた。奇妙な雰囲気に包まれたその車内で、いわくありげな老富豪が無残な刺殺体で発見される。偶然乗り合わせた名探偵ポアロが捜査に乗り出すが、すべての乗客には完璧なアリバイが……。
ミステリーの魅力が詰まった永遠の名作。最後の謎解きは何度読んでも唸ってしまうほど圧巻で爽快。結末も犯人も分かっているのに、どうしてこうも毎回ハラハラドキドキさせられるのか。事件の真実はミステリーの常識からすると……という部分はあれど、ミステリー好きだからこそ、余計に衝撃を覚えるのかもしれません。
発売日:2010年11月10日
出版社:早川書房
著者名:アガサ・クリスティー
その孤島に招き寄せられたのは、たがいに面識もない、職業や年齢もさまざまな十人の男女。しかし、招待主の姿は島にはなく、やがて夕食の席上、彼らの過去の犯罪を暴き立てる謎の声が響く…そして無気味な童謡の歌詞通りに、彼らが一人ずつ殺されてゆくーー。ミスリードや伏線が巧妙すぎるからこそ、犯人や事件の真相、仕掛けが判明した時の驚きが大きくなります。騙されたい、振り回されたい人は一度味わってみるべき名作中の名作。ミステリーの醍醐味、ここにあり! の一冊です。
発売日:2003年12月15日
出版社:早川書房
著者名:アガサ・クリスティー
名士アクロイドが刺殺されているのが発見され、シェパード医師は警察の調査を克明に記録しようとしますが、事件は迷宮入りの様相を呈し始めます。しかし、村に住む風変わりな男が名探偵ポアロであることが判明し、局面は新たな展開を見せていきます。言わずと知れた名作。名作だらけのクリスティー作品で、オチも広く知られていますが、ストーリーを最初から読み進めれば、いつのまにか世界観に誘われ、知っていたはずのオチも忘れラストに衝撃を受ける。その繰り返しが楽しくてたまりません。
どんでん返しが秀逸な小説は、作者渾身の仕掛けが施された、繰り返し読みたくなる傑作ばかり。トリックに翻弄されながら、推理が外れることをも楽しみながら、待ち受ける衝撃の結末をじっくりと堪能してみてください。
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ミステリーチャンネルについて
世界各国の上質なドラマをお届けする日本唯一のミステリー専門チャンネル。「名探偵ポワロ」「ミス・マープル」「シャーロック・ホームズの冒険」「ヴェラ~信念の女警部~」「SHERLOCK シャーロック」など英国の本格ミステリーをはじめ、「アストリッドとラファエル文書係の事件録」などのヨーロッパの話題作や「刑事コロンボ」といった名作、人気小説が原作の日本のミステリーまで、選りすぐりのドラマが集結!ここでしか見られない独占放送の最新作も続々オンエア!
© Septembre Productions / Itinéraire Productions / TF1 / Be-Films / RTBF (Télévision Belge) MMXXII © FRANCE TÉLÉVISIONS - JLA PRODUCTIONS - Be-FILMS - RTBF (Télévision belge) – 2023 © Passion Films 2015 – Photos : Christophe Brachet © FRANÇOIS LEFEBVRE / RYOAN / CHABRAQUE / FTV © MMXXI - BEAUBOURG FICTION/BEAUBOURG AUDIOVISUEL/TF1/Be-FILMS/RTBF (Télévision belge) DÉPÔT LÉGAL – 2021 © Ramona Productions - Kam&Ka Productions - France Télévisions © Serena PORCHER-CARLI ©︎ UGC © BenoitLinder © Thierry VALLETOUX