かつてフランス代表としてピッチに立ち、イングランドの強豪マンチェスター・ユナイテッドでも大活躍の選手だったエリック・カントナ。実は彼が、現在はフランスのドラマの主演を務め、数々の映画にも出演する俳優に転身を遂げていたことをご存じですか？今回は、異色の経歴を持つ彼の魅力を出演作とともに紹介していきます！ 

エリック・カントナとは？

1966年5月24日生まれ。1987年から1995年にかけてフランス代表として数々の国際試合に出場した経歴を持ち、選手個人としては1992年にイングランドの強豪マンチェスター・ユナイテッドに移籍。同チームにとって非常に特別な意味を持つ「背番号7番」の名フォワードとして活躍し、ファンの間では「キング」の愛称で親しまれました。1997年にサッカー選手を引退後は、俳優に転身。フランス国内外の映画、ドラマで活躍しています。

出演作まとめ

俳優に転身後、1998年公開の『エリザベス』に出演。陰謀渦巻く16世紀のイングランドを舞台に、25歳で女王に即位したエリザベス一世をケイト・ブランシェットが演じました。エリック・カントナは、フランス大使ド・フォア役で出演しています。1999年公開のヒューマンドラマ『クリクリのいた夏』や、2014年公開のマッツ・ミケルセン主演の西部劇『悪党に粛清を』にも出演。

2009年公開の映画『エリックを探して』では、本人役で登場しました。人生いいことなしのダメダメな主人公の前に、なぜか憧れのスーパースター、エリック・カントナが現れてアドバイスをしてくれるようになり…というハートフルコメディ。外国出身の選手としてイングランドきっての名門チームで活躍したエリック・カントナが、いかにイングランド国内で圧倒的な人気があったか、ということを強く感じさせる作品です。

【作品紹介】ミステリーチャンネルで放送『新人捜査官とプロファイラーの落ちこぼれ殺人捜査』

© ATLANTIQUE PRODUCTIONS – M6 – 2023

ここからは、そんなエリック・カントナが主演を務めるドラマを２作品ご紹介！まずは、ミステリーチャンネルで放送の『 新人捜査官とプロファイラーの落ちこぼれ殺人捜査』です。

憧れの刑事部に配属され、意気揚々の新人捜査官アメリア。しかし、功を焦ると、もれなく失敗がついてくるのが世の常です。連続殺人犯“シェークスピア”の逮捕の決め手となる証人確保、という重大な場面でとんでもない大失敗をしてしまいます。警察署が威信をかけて計画した大捕り物を台無しにした新人に、上司は捜査への参加を禁ずる厳しい処分を下します。家でテレビを見ながら娘の帰りを待つ母親に、まさか「毎日警察署の椅子を温めている」なんて言えるわけもなく…。アメリアは手柄を立てるため、独自で少女失踪事件の捜査を始めることに。

© Nicolas VELTER/MEDIAWAN/M6

時を同じくして、犯罪プロファイラーのダニエルもまた同じ失踪事件に注目していました。かつては天才プロファイラーとして名を馳せたダニエルですが、５年前に連続殺人犯“シェークスピア”のプロファイリングを巡って取返しのつかない失敗をしてしまい、今やメディアのおもちゃにされ、私生活はボロボロ…。そんな彼のことを「ペテン師」と蔑むアメリアでしたが、行く先々で自分を先回りしているかのように顔を合わせるダニエルと、仕方なく共同戦線を張ることに。ヒヨッコ警官と飲んだくれプロファイラーという落ちこぼれコンビは、はたして少女失踪事件の真相を解明できるのか？

© Nicolas VELTER/MEDIAWAN/M6

人生の崖っぷちに立たされてはいるものの、かつて天才の名をほしいままにしたプロファイラーとしての実力に陰りはないダニエル。鋭い観察眼と巧みな話術でもって、重要な手がかりを探し出して真相に近づいていくダニエルを、エリック・カントナが見事に演じています。二人揃って詰めが甘いので、ピンチに陥ることも多いアメリアとダニエル。そんな二人が窮地に陥る度に、雑なアドリブと無茶な機転でもって難を逃れていく姿に、思わず冷や汗をかいてしまうこと間違いなしです。  連続殺人犯を追い詰めるシビアなストーリーでありながら、テンポのよいドラマとなっています。

【作品紹介】アクションチャンネルで放送『ヴィジランテ 行方不明者捜索チーム』

© Olotropp

続いて紹介するのは、2024年3月にフランスのテレビ局M6で放送されたばかりの『ヴィジランテ 行方不明者捜索チーム』。娘を誘拐された父親が、友人たちと共に独自の調査で救出を目指すクライム・サスペンスです。

ジュリアン・カスタネダ（通称：カスタ）は、副業を掛け持ちしながら娘と母親を養うタクシー運転手。裕福ではないものの、穏やかで満ち足りた日々を過ごしていた矢先、ライブに出かけた娘が門限を過ぎても帰宅せず、連絡もつかなくなってしまいます。不安がる母親をなだめて警察に駆け込んだカスタでしたが、常に人手不足の警察は全く助けになりません。

娘は何かトラブルに巻き込まれたに違いないと考えたカスタは、家族同然の付き合いである友人のナス、そして娘の学校の監視員を務めるシャルリーとともに、独自に調査を始めることを決意。昔ながらの張り紙と聞き込みに加えて、SNSを駆使しての情報拡散で広く周知した三人は、投稿に寄せられる膨大な数の情報を精査して、ついに人里離れた場所に監禁されていた娘の救出に成功します。

大きな怪我もなく保護された娘の姿に安堵したのもつかの間、「警察に頼らず自力で子供を救出した英雄」としてメディアに報道されたカスタのもとには、大切な誰かの写真を握りしめた人々が列をなしてやってくることに…。心に大きな傷を負った娘のケアをしながら、カスタと仲間たちは今日も誰かにとっての大切な人を家に帰すべく奮闘していきます。

© Bonne Pioche Story – Bonne Pioche Télévision - 2023

エリック・カントナが演じるのは、家族を守るためどんな危険にも立ち向かう屈強なタクシー運転手カスタです。送り届けるお客さんへの気配りを忘れないサービスと安全な運転で星５レビューが多い優良タクシー運転手であり、仲間からの信頼も厚いカスタ。しかし、人手が足りないからと雑な対応をした警察官に対しての叱責や、娘と会ったにもかかわらず嘘をついた男を追い詰めるときの言動には、荒々しさが垣間見えます。

突然の荒事にたじろぐシャルリーに対して、「時には暴力は手段になりうる」と言い切るカスタには実は前科があり、第一話では昔の彼を知る人物の中には“社会的ではない面々”もちらほらいることが明かされます。謎に包まれたカスタの過去が少しずつ明かされてく一方で、愛する人が突然姿を消してしまい途方に暮れる人々のために手を差し伸べようとする善なる心もまた彼の本当の姿でもあります。「正義の味方」と一言で片づけられるほど綺麗ではないけれど、絶望する人々のために戦うのは、誰にでもできることではありません。白と黒だけで線引きできない世の中で、少なくとも子供たちが傷つけられるような世界にだけはしないという断固たる意志でもって戦うカスタの姿に胸が熱くなります。

© Bonne Pioche Story – Bonne Pioche Télévision - 2023

個人的には、子供の誘拐をテーマにした作品は、ほかのクライム系の作品とは一線を画す重みを持つと感じています。しかし本作は、一つひとつの事件の裏には、恐怖におびえる子供と、その子供のことを気が狂いそうになりながら心配する人間がいることを忘れさせないストーリー、そして、励まし合い、協力し合いながら子供を家に帰すべく懸命に戦う大人たちの姿を丁寧に描いています。現実でも悲しい事件ばかりが目立ちますが、そんな中でもわずかに心が救われるようなドラマだと思います。

最後に

今回は、元フランス代表として活躍後マンチェスター・ユナイテッドのスター選手になり、その後俳優へと転身を遂げたという異色の経歴を持つ俳優エリック・カントナをご紹介しました。欧州やイングランドのサッカーに造詣が深い方の中には「知ってるよ！」という方も多かったかもしれませんね。すでに俳優としてのキャリアも20年以上というベテランであり、演じる役柄もかなり幅広いです。今回ご紹介した二作品でも、それぞれ味わいの異なる屈強なおじさんを演じていますので、ぜひ見比べてみてください！

（文：うりまる）

ミステリーチャンネルで放送
「新人捜査官とプロファイラーの落ちこぼれ殺人捜査」番組公式サイト

アクションチャンネルで放送
「ヴィジランテ　行方不明者捜索チーム」番組公式サイト　（※アクションチャンネルHPへ遷移します）

※ミステリーチャンネルでの放送情報は、番組公式サイト、または、ミステリーチャンネル カスタマーセンターまでお問い合わせください。

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